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新英語教育研究会神奈川支部HP

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読書ノート:青木雄二『僕が最後に~』

05.5.15  
青木雄二『僕が最後に言い残したかったこと』小学館2003    

そしてこうかつな大人達は、そうした若者が世間慣れしていないのをいいことにさまざまな甘言を弄して、自分たちの利益を得ようとたくらんでおるんや。また若いやつはそれにまんまとのってしまうんやな。  例えば、女子高生とか女子中学生が、あくどい大人にのせられて売春をしてお金を儲けている、でも、これかて、結局はだまされているわけやで。もし、今このような売春行為をしている子がこの本読んでたら、僕ははっきり忠告したい。今すぐそういう行為は止めなさい。  「自分の体で何しようと勝手じゃん」やて? まあ、最後まで聞かんかい。おまえた自分の体を売ってると勘違いしとるけど、実は心を売っとるんやで。しかも客に売っとるんやなくて、「悪魔」に心を売っとるんや。それも安い金でな。  ところが売ったつもりが、いつの間にかとんでもない「負債」を抱えることになる。自分の体にその「悪魔」が入り込んできて、おまえたちの体を支配してしまうんや。自分が自分でなくなるんやぞ。これほど恐ろしいことはないで。「悪魔」に心を売った代償はあまりにも高い。今ならまだ間に合う。早く悔い改めることや。p. 45-46
そして、一番大事なのが、自分をだまさんこと、つまり自分をごまかさないことや。自分のあやまちを認めないことは最大の悪徳なんやで。p. 50

 (『罪と罰』の紹介のあとで) そう、人間はこのような「業」というものを持っている。その「業」と向かいあい、対決し、それに打ち勝ってこそ、真の人間になれるということなのです。p. 53

 高橋是清蔵相は昭和の大恐慌のときに、緊縮財政によって日本経済を立て直そうとしたんやが、軍事費の圧縮を快く思わない陸軍によって、二・二六事件で殺されました。彼はまさにおのれの命を張って、日本を救おうとしたのであります。p. 57  

僕に言わせれば、ITの実態は、お寒い限りやと思うで。p. 58
文章を書くだけやったら、ワープロで十分だったはずや。インターネットは検索が便利だとしても、専門的に使う場合、結局は原典に頼らねばならないし、せいぜいチャットやエロサイト訪問ぐらいが関の山やろう。  そんなものに一日何時間も付き合うなんて、人生の大いなる無駄やと思うで。IT革命なぞというものは、ソフトや関連機器の売り込みを図るための壮大な茶番に過ぎないと僕は思う。政治家もいいかがんなことは言わんで欲しいもんや。p. 59

(お金を目的化する危険を説いて/野球の結果のみで一喜一憂するファンのおかしさを指摘して)  これが昂じると、ものの本質ではなく、記号化されたものを愛するということになる。さらには人間疎外につながるんや。人間のいる社会ではあるが、お互いがお金の力によってバラバラになってしまっている状態や。  記号化されたものを愛するというのは、結局フェティシズムや。p. 78(中略)  
これははっきり言って怖いで。お金を偏愛するということは、これにやや近いぐらいのものやと思ってええやろう。どや、ちょっとへこんだか? やっぱり愛すべきものはお金やなくて物、靴やなくて女や。p. 79  
そして、このお金の移動だけで金をもうけることを大がかりに行なっているのが現在のアメリカなんや。デイトレーダーと呼ばれる、株を「午前中に買って午後に売る」個人投資家がいる世界というのは異常としか僕には思えないんや。p. 81  
しかし、欧米や日本など、高度資本主義諸国において、そろそろ一部の人々は気づき始めておる。資本主義がその限界に近づきつつあることを。経済競争の行き着くところは生き地獄であることを。そして、資本というものの真の恐ろしさというのは、金というものが人間同士が殺しあうように仕向けているということを。p. 106 つまりソクラテスは、よく知りもしないで死というものを恐ろしいもの、最悪なものと決めつけることこそ、おかしいのだと言っているわけや。(中略)  さすがは産婆法(相手に質問して、その答えの矛盾点を指摘することによって相手の無知を自覚させ、物事の正確な把握に導く方法)の確立者ソクラテスだけあって、単純明快な論理や。ソクラテスは人間を死の恐怖から解放しているという点だけを見ても偉大な哲学者といえるのであります。 p. 148

チェコのヤン・アモス・コメニウス『大教授学』  
「あらゆる学習の障害物が生徒から取り除かれるべきこと」  

人間の価値は何で決まるか? 言うとくが、それはもちろん学業成績やないで。それは 「どれだけ他人を喜ばすことができたか、失意にある人間をどれだけ励ますことができたか」   たったこれだけなんや。これだけできた人間はみんな百点満点をもらえる資格がある。それが何や今の教育は。他人に無関心な人間、あるいは他人を不幸にする人間ばかりつくっているやないか。 p. 169 ~171


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